対人関係・人間関係-3

この頃公共のトイレに「トイレをきれいに使って下さって、ありがとうございます。」心がなごむ張り紙をよく見かけるようになってきました。
以前は「トイレはみんなが使うものです。きれいに使って下さい」命令・指示形でした。「きれいに使ってくれて、ありがとう」って書いてあったら、それを見た人たちが「ありがとうと言ってもらえるのなら、きれいに使わなくっちゃ！」という意識になります。

相手を責めるよりも、相手がそうしたくなるような、メッセージは誰をも傷つけることなく優しく、様々な問題を解決の方向に導いてくれます。

「ねっ、あなたもそう思うでしょう！」
職場や友人関係の中で、自分の意に反して相手に同意を求められた時、「私はそう思っていません。」と言えない時があります。相手を傷つけないように最大の注意を払って、ホントは違うのに相手に嫌われるのが怖くて、「そうよね。」「私もそう思うわ。」と無理をして自分の心を偽って、苦しい思いをすることがあります。

その後で自分を責めて、「どうして私はこうなんだろう？」と、いつも落ち込んだものでした。相手は私のことなどたいして気にかけてもいないのに、なぜか自分より相手の気持ちを優先してしまう。その結果相手を傷つけないようにと配慮して同調したつもり。
でも、逆に相手が「あの人がこう言っていたのよ。」と、相手が自分の気持ちを私に転嫁して、周囲に広げたりすることがあったりして、自分自身がとても傷つくこともありました。

今は相手の言葉に同調せずに、「そう～。」「あなたはそんなふうに思っているのね。」と、あくまでもあなたの問題として受け止めています。心の中に境界線をひいて、そのまま相手の言葉を相手にフィードバック返したら、自分の心に負担をかけなくて済むようになります。

「あなたはあなた」「私は私」「私はあなたじゃないもの」
一番大切なのは、自分です。

自分が気にするほど、相手は私のことなど気にしていないのだと気がついて、無理をしてまで相手に「同調」することを止めました。「イエス」と「ノー」の中間もあってもいいのだと思えるようになってから、受け止め方の幅が広がって心に負担をかけることが少なくなっています。

いろんな事がある度に、自分に言い聞かせる呪文があります。「なんでもあり。」「まぁ～いいっか。」「OK！」そうすると心が波立った時、少しずつ穏やかになっていきます。

「転ばないようにね。」
「今度転んだら終わりだからね！」
「気をつけて歩いた方がいい」
知人の80代のご婦人が、転倒骨折して入院された時の、周囲からの励ましの言葉です。

足腰に自信があったAさんは思いがけぬ怪我に、かなり落ち込まれました。
手術をして１ヶ月の入院を経て退院。シャカシャカ歩けていたのが杖が必要になり、不安全開。転ばないように細心の注意を払って歩いても、それでも不安定で恐怖の連続。

「善意のつもり」で、「励ましのつもり」できっと言ってくれてるのでしょうが、本人にとっては、自分自身が一番身にしみて気をつけているのに、「今度転んだらお終いだからね！」と言われたことで、心が痛く傷ついてしまったとしょげておられました。

「あなたのことが心配なの。気をつけてね。」と言って貰えた方がホットできるというお話を伺い、メッセージの伝え方次第で相手を無意識の内に傷つけている可能性があるのだと再認識させていただいた一日でした。